2025年6月6日。
金曜ロードショーで『リロ&スティッチ』が放送された。
「これ、小さいころ見た!」と息子が言い出したのがきっかけで、
夕食の片付けを後回しにして、家族4人でソファに並んで観ることにした。
なんてことない金曜の夜。
だけど、僕にとっては忘れられない夜になった。
◆ 「壊れた家族」って、なんだろう?
スティッチが「I’m lost.」とつぶやく場面。
目を伏せて、小さな声で「壊れた家族」とつぶやいた瞬間、胸がギュッとなった。
そのとき、隣で観ていた小4の息子がポツリと聞いてきた。
「パパ、“壊れた家族”ってなに?」
急に問いかけられて、うまく答えられなかった。
「うーん…いろいろあるけど、大事なのは“今、どう思ってるか”なんじゃないかな」
と、なんとか返したけど、僕のほうが考えさせられた。
共働きの我が家は、日々バタバタだ。
朝は時間との戦い。夕方は学童のお迎えと習い事の送迎。
夕食の準備中にケンカが始まり、「こら!静かにして!」と怒鳴ってしまうこともしばしば。
正直、子どもたちに「かわいそうな思いをさせてるんじゃないか」と思う日もある。
「普通の家族」ってなんだろうって、自問する夜もある。
でも、リロの言葉が、それをそっと救ってくれた。
“Ohana means family.
Family means nobody gets left behind or forgotten.”
(オハナは家族。家族は、誰も見捨てないし、忘れない)
◆ 息子の涙と、僕の後悔
クライマックスの感動的なシーン。
スティッチが「僕の家族だ」と言ってリロたちを守る姿に、なんと息子がぽろっと泣いた。
泣くほど感情を動かされた姿を、僕は初めて見た。
「スティッチ、変なやつだけど、がんばってたね」
そんな息子の一言に、僕もぐっときた。
そして、思い出した。
数日前、僕が仕事で疲れていたときに、宿題を忘れた息子を叱りつけたこと。
あのときの息子の寂しそうな顔が、頭に浮かんだ。
僕は彼の話をちゃんと聞けていただろうか。
彼が「助けてほしい」と出していたサインを、見逃していなかったか?
◆ 家族って、不完全でいい
映画の中の家族は、不完全だ。
リロとナニは両親を亡くし、若いお姉ちゃんが必死に妹を育てている。
スティッチは実験体626号で、最初は破壊しかできなかった。
でも、そんなバラバラな彼らが、時間をかけて“家族”になっていく。
それって、僕たちにも言えるんじゃないかと思った。
うちはいつも完璧じゃない。
ご飯がレトルトになる日もあるし、洗濯物が山積みのまま寝る夜もある。
だけど、子どもたちを愛している。どんな日でも、それだけは確かなんだ。
◆ 最後に
映画が終わって、子どもたちが寝静まったあと。
ママとふたり、キッチンでちょっとだけコーヒーを飲んだ。
「うちの家族も、リロとスティッチくらい変だけどさ」
「でも、なんだかんだで悪くないよね」
そんなことを笑いながら話した。
完璧じゃない。でも、大丈夫。
誰も置いていかない。忘れない。それが、オハナなんだと思う。